ネーションズカップ2024
- Toshiki Kogure
- 2月25日
- 読了時間: 6分
日本チームは、2020年の第1回大会から5年連続の出場。 私自身も5年連続の出場になりました。 参加国は2023年大会から1か国減って、7か国。 まず2024年11月から12月にかけて、全チームの総当たり戦をおこない、その結果によって決勝トーナメント(全チーム出場)の組み合わせを決めました。 また今回から、49erの9v9以外は、新コースの N-shaped Team が採用されました。 このコースは、上り→ポートリーチング→下り→ポートリーチング→上り、という構成で、従来の下りフィニッシュとは違う戦略、戦術が求められました。 【総当たり戦】 〇第1試合 スイス戦 相手もデータの少ない新しい選手がいましたが、こちらも初出場の若手選手が揃っていて、ほとんどが世界選手権2024のセミファイナルに出場する世界トップ100には入る実力者でした。力の差は歴然で、ほぼすべてのレースを圧勝し、7-0で勝ちました。

〇第2試合 ドイツ戦 初戦の勢いそのままに、危なげなく完勝しました。
ドイツは数年前まで速い選手が多かった印象ですが、近年は上位層の選手たちがあまり練習していない印象があります。

〇第3試合 ポーランド戦 完勝が続き、相手が多少強くなるとはいえ強気で臨めるほど日本のチームメンバーは頼もしかったです。 ところが私が出場した第1レースを落とし、第2レースはほぼ勝利確実のところで操船ミスがあって負け、第3レースは最終マークの前まで理想の形に近かったのですが、その最終マークで致命的な多重ミスがあり、3-0に追いこまれました。
第4レース以降はチームが変わったように安定感を取り戻しはじめ、4-3で勝ちました。

〇第4試合 イタリア戦 前回大会の優勝チームで、今回の総当たり戦でフランスを7-0で倒していましたが、メンバーリストだけ比べると今年こそはいい勝負ができそうでした。 多くのレースで終盤まで勝負がもつれました。3-3のフルセットで迎えたF50は、スタートこそ負けそうになったものの1上で追いつき、追い越し、ネーションズカップ史上初めてのイタリア戦勝利になりました。 これでまだ勝ててないのは、実質スペインとイギリスだけになりましたが、この2か国はここ最近出場できていません(出場には各国セーリング連盟の協力が必要)。

〇第5試合 フランス戦 フランスは元世界チャンピオンなどの実力のある飛びぬけた選手が複数いますが、総合力で見れば今年は全然負けていませんでした。 この時期はゲームのトラブルが多く、相手のトラブルも手伝ってポーランド戦とは逆に最初の3本を取ってリーチをかけました。 そこからの1本がなかなか重く、4本連続で取られて逆転を許してしまいました。これで、日本、イタリア、フランスが三つ巴の状態になりました。

〇第6試合 スウェーデン戦 この試合は世界選手権決勝の後に実施しました。私は世界選手権でスウェーデンチームの何人かと実際に顔を合わせたので、不思議な気持ちでした。 スウェーデンはイタリアから3本取っていたので、油断のできない相手でした。接戦のレースもありましたが、蓋をあけてみれば完勝でした。

◇総当たり戦結果

最終的に20点でフランス、日本、イタリアが並びました。 一番右の列はレース勝率を表す得失点差の数字です。もし得失点差が最も重視されるならフランスが3位になっているはずですが、そうはなっていません。実はこの表にはない「Decisive win(7-0か6-1で勝ち)の数」のほうが重視され、フランスは4、日本とイタリアは3でした。日本とイタリアのタイには直接対決の結果が適用され、日本が2位となりました。 今回のルールで総当たり戦をやってみて、いっそのこと大勝・小勝といった人為的な線引きによるポイントはなしにして、得失点差のみで順位をつけるほうがチームレースの大会においては公平な気がしました。 日本は7-0で3回も勝っていますが、フランスは7-0では一度も勝っておらず、0-7で負けてさえいますが、日本とイタリアより上と判断されることには疑問を抱いてしまいました。 【決勝トーナメント】 〇準々決勝 スイス戦(予選7位) 安定させにくいStarだけ落としてしまいましたが、あとは大きなピンチなくすべて取り、8-1で勝ちました。

〇準決勝 イタリア戦(予選3位) 前回の試合から1か月以上空き、イタリア戦を行いました(準決勝の組み合わせに関してひと悶着ありましたが、結局一般的な組み合わせに修正されました)。 多くのメンバーが年末年始に忙しくなり、練習量もモチベーションも維持するのが難しかったですが、それでもできる人はチームレースの練習を積んで臨みました。 予選のときに実力が拮抗しているのは分かっていたので、またギリギリの展開が続くと予想していました。最初に2本取られても次に1本取りかえしました。続けてもう1本取れそうだったOffshoreの5v5は、フィニッシュ直前のミスで相手に勝ちを譲ってしまい、かなり厳しくなりました。 次の49erもわずかにおよばず、第6レースは一番高かった日本艇が通信不良に見舞われるトラブルにより、後味の悪い決定打となりました。
せめてそこから3本取っておきたかったですが、2本だけしか取れず3-6で終わりました。 ネーションズカップの決勝出場および優勝は、次回以降におあずけです。

〇3位決定戦 ポーランド戦(予選4位) 正直、決勝進出が叶わなかった時点で、私は今年の大会への気持ちを保つのが難しかったですが、負けて終わるのも癪なので、多少は準備して臨みました。 muimuiさんとトッティ&totttexiさんが不在だったのが少し不安なポイントでした。 第1レースは私が出場して、激闘の末に最後は自分のミスで落とし、第2レースは下りの連携がまずくて落とし、少しずつ追い詰められていきました。次の2本は圧勝したのですが、49erで予想外の大敗をしました。 そこから取って取られてを繰り返して4-4で迎えた最終レース。F50担当の私も出ました。 最初はこちらが1-2位で優勢でしたが、自分のコースミスからレースは動きました。2上の後半でうまく連携できず、私が相手に囲まれる展開になりました。 そこから最下位の味方艇(kuyc_31471)を引きあげる任務が生じましたが、3下であえなく返り討ちペナルティをもらい失敗。私が最下位になる代わりに、その妨害によって味方は4位に上がりましたが、相手との位置関係は微妙。相手の1艇が味方に風下から近づき、負けを悟りましたが、15条が味方を守ってくれました。さらにもう1艇にもペナルティを与えて、味方の3位フィニッシュで日本の勝ちとなりました。

◇最終結果 日本は2年連続の3位入賞となりました。 もちろん悔しいですが、なにが悔しいかって、日本チームが強くなるための最善策を何年も実行できていないことです。団体戦なので私ひとりの力ではどうにもならないですが、これまでと同じことをやっていても優勝できる確率は上がってくれないでしょう。 フリートレース力については、日本はだいぶ選手層が厚くなってきましたが、チームレース力で見ればまだまだですし、「チーム力」も足りないように感じます。 いつまでものんびりしてはいられないですが、結果を急ぎすぎても苦しいだけなので、小さなステップアップ(今回であれば予選のイタリア戦勝利など)を目指して優勝に近づいていければいいなと思っています。
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